ZZR250 バルブタイミングの測定

 


 

その1ヘッド面研(圧縮比アップ) その2ピストン重量合わせ その3バルブタイミング測定 その4バルブタイミング修正 その5バランサーシャフトキャンセル その6インプレッション

 


 

ZZR250エンジンチューン(?)その3 バルブタイミングの測定


 ヘッドを面研磨したので、バルブタイミングの修正を実施しました。私が作業の参考にしたのはヨシムラSTカムのバルブタイミング測定・調整方法を解説したPDFファイルの内容です。http://www.yoshimura-jp.com/special/4st-mini/pdf/valve-timing.pdf

 尚、このページは改行なしの長文が多くて読みづらいだけでなく、自分なりの解釈をヘタな文章で表現しているので、訳がわからないかも知れません。

 

  ヘッドを面研磨するとバルブタイミングが変化します。(タイミングが遅れます) 例えばEX250EEだと、通常、排気側のカムとカムチェーンの位置は−マークとヘッドのツラが一直線になるように取り付けますが、面研をしてヘッド位置 が下がると、相対的に引っかけるべきチェーンのコマの位置がヘッドのツラ面より上になってしまうので、(排気側のカムチェーンはたるまないように引っ張り 上げながら取りつけるので) カムポジションが回転方向とは逆に戻ってしまうのです。

画像は大げさに表現しています。

 ヘッドを0.5mm研磨したならば、今までヘッドのツラと平行で合わせていたマーク(上の画像の赤線)が、0.5mm上(青い線)になってしまうということです。ただ、0.5mmは目視ではわかりませんから、今まで通りマークとヘッドのツラは一直線に見えます。

 これを計測で検証し、変化していれば修正するのがこのページのレポートです。まず最初に0.5mmというのは角度にすると何度に相当するのか?(目安)を計算で出してみました。

 

EX250EEのカムスプロケットは、直径75mmでした。円周長は75πで235.62mmです。

 360で割ると1度あたりの距離が出ます。(235.62÷360=0.654mm) 0.654mmが1度なので0.5mmは0.765度となります。つまりEX250EEのヘッドを0.5mm面研磨すると、カムシャフトは0.765度戻ります。

 

  バルブタイミングはカムシャフトの角度ではなくクランクシャフトの角度なので換算します。カムシャフト1回転でクランクシャフトは2回転しますから、カム シャフトの0.765度というのはクランクシャフトでは1.53度になります。まとめると、計算上EX250EEのヘッドを0.5mm面研磨すると、目安 としてバルブタイミングが1.53度遅れるということになります。


 

カワサキSMによるGPX250Rのカムデータ(今回使用したカムはZZRではなくGPXなので)

吸気側:開きBTDC30度、閉じABDC70度(作用角280度)

排気側:開きBBDC70度、閉じATDC30度(作用角280度)

 

カワサキのデータには開き始め閉じの角度が「1mmリフト時」とは記載されてませんが1mmリフト時とします。するとロブセンターは110度になります。検証は、ダイヤルゲージを使用して面研前・後のロブセンターを計測して、比較します。


  バルブタイミングはこのように表示するのですが、慣れるまでは頭が混乱して大変です。理解するコツは、それぞれのエリアは0〜90度表示である。上死点 (ゼロ)の位置が動くのではなく分度器全体が左回転してゆく。左に回転させると常にATDC→BBDC→ABCD→BTDCという順番になる。ロブセン ターだけは上死点からカウントして90度以上の数値で表示する。常に圧縮上死点からスタートしクランク2回転でカムシャフト1回転する。といったところで しょうか。

 

実際の分度器とダイヤルゲージの関係を文章にするとこんな感じです。

 

吸気側

  圧縮工程時の上死点で分度器の指針を0度に合わせたら、クランクシャフトを左回転させて行きます。分度器全体が左回転すると同時にATDCエリアに入りま す。まだ、バルブはリフトしていないのでダイヤルゲージも振れていません。90度回すとBBDCエリアに入りますがまだダイヤルゲージは動きません。 180度回すとABCDエリアに入りますが、まだダイヤルゲージは動きません。

  そして、270度回すとBTDCエリアに入り、だいたい300度くらい回したところで(BTDC60くらいになったところで)やっと針が動き出します。そ して330度回すと(BTDC30の位置になると)ダイヤルゲージの針が1回転します。(バルブスプリングリテーナーが1mm下降します。)そして、その まま左回転させて行きます。バルブスプリングはどんどん縮んで行き、360度回すと2回目のATDCエリアに入り、次のBBCDエリアに入って合計470 度回したとき(BBCD70)、バルブスプリングは最大に縮み、ダイヤルゲージの針が折り返す(逆回転する)瞬間になります。そこがロブセンターです。そ のまま左回転させ、合計720度回すと終了です。

 

排気側

  圧縮工程時の上死点で分度器の指針を0度に合わせたら、クランクシャフトを左回転させて行きます。分度器全体が左回転すると同時にATDCエリアに入り、 だいたい80度くらい回したところでダイヤルゲージの針が動き出します。90度回すとBBDCエリアに入り、110度回したところ(BBDC70)で、ダ イヤルゲージの針が1回転します。(バルブスプリングリテーナーが1mm下降します。)そのまま左回転させ、180度回してABCDエリアに入って合計 250度回すと(ABCD70の位置になると)バルブスプリングは最大に縮み、ダイヤルゲージの針が折り返す(逆回転する)瞬間になります。そこがロブセ ンターです。

 そのまま左回転させて行きますが、もうロブセンターの確認はできたので、あとは元に戻すだけです。270度回すとBTDCエリアに入り、360度回すと2回目のATDCに入ります。そのまま更に左回転で一周させ、合計720度回せば元に戻って終了です。

 


うんちくはここまでにしますので、それでは、いつものように時系列の作業写真をご覧下さい。

 圧縮上死点を出す。

 オルタネーターカバーの覗き窓で2Tに合わせました。

 念のためダイヤルゲージを使って2番ピストンの上死点を確認してみたら、覗き窓マークと2T線の位置がピッタリでした。(当たり前ですが・・・)

よって、上死点を出すのにわざわざダイヤルゲージを使う必要はないと思います。

 

 

 2、指針を設置する

 フライホイールに全円分度器を貼り付けるので、オルタネーターカバーを取り外します。すると、上死点に合わせる覗き窓が無くなってしまうので、その替わりに適当なアルミ板を切り出して指針(と呼ぶにはあまりにも雑なものですが)を設置しました。

 こんな感じです。

 Tマークに合わせるアルミ板は少々のことでは動いてしまわぬように、結構厚めのアルミを使用しました。

 もう一つのペラペラのアルミ板を使った指針は、全円分度器用の指針です。

 

 

 円分度器(もどき)

 実はダイソーの分度器を2枚貼り合わせたものです。(専用品は2000円くらいする)

 3、分度器の貼り付け

 私は両面 テープで貼り付ました。油が付いているのでパークリで脱脂してから貼り付けましたが、なかなかくっついてくれなく大変でした。ヨシムラの解説書にはマグネットシートを分度器側の貼り付けてからフライホイールにくっ付ける、とあります。なるほど、フライホイールは磁石なのでマグネットシートのほうがしっかり装着できるようです。

 

 

 アルミ板を切り取った指針を取り付けて、分度器のゼロの位置に指針を合わせました。

 ダイヤルゲージのセット

 排気側から実施しました。バルブリテーナーの上にダイヤルゲージ棒の先端を乗せます。

 

 

  クランクシャフトを左に回して行き、バルブリテーナーが最大に下降し再び上がってくる瞬間、すなわちダイヤルゲージが逆転する瞬間の分度器の角度を見ます。ここがロブセンターです。結果はBBCD72°(=108°)でした。(本来はBBDC70°ですので、面研磨したことで2°遅れているいう確認が取れました)

  私が測定したのは実際のロブセンター(ダイヤルゲージが折り返す地点)の角度ですが、バルブが開き始める角度と閉じる角度を記録し、その中心の角度もロブセンターなので(ヨシムラのPDFファイルの内容)、どちらも方法でも良いと思います。またダイヤルゲージが折り返す地点を正確に見るには、実際に折り返す地点から少し手前に任意の地点を決め、そこを折り返す前に通過したときの角度と戻ってきたときの角度から(足して2で割った角度)からも読み取ります。

 

 

 続いて吸気側を計測

 吸気側のロブセンターはABCD72°(=112°)でした。やはり2°遅れています。

 念のためノーマルエンジンも測定

 

測定の結果バルブタイミングは2°遅れているということがわかりました。このままでは「ただ面研磨しただけ」になってしまうので、次はカムスプロケットの加工で2°戻す作業をします。

 


 

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